結論: バイブコーディングとは、AIに日本語や英語などの自然言語で指示を出し、ソフトウェアを開発する手法です。2025年2月にAI研究者のアンドレイ・カーパシーが提唱しました。プログラミングの知識がなくても、アイデアと目的を言葉で伝えるだけでアプリやシステムを構築できます。ただし万能ではなく、「AIへの伝え方」や「完成後の品質チェック」には人間のスキルが必要です。
私は会計業界でDX推進を担当している30代です。プログラミング経験はゼロ。正直に言うと、今もコードは読めません。
それでも、AIの力を借りて社内の業務システムを複数開発しました。顧問先の情報を一元管理するポータル、会計ソフトとのAPI連携、税務書類のチェックを自動化するツール。どれも、コードを1行も手で書かずに作ったものです。
こんなことが可能になったのが「バイブコーディング」という手法です。この記事では、バイブコーディングとは何かを、実際にこの手法で業務システムを構築した当事者の視点から解説します。
バイブコーディングとは? 意味と仕組みをわかりやすく解説
Vibe Codingの語源と提唱者
バイブコーディング(Vibe Coding)は、2025年2月にAI研究者のアンドレイ・カーパシー氏がSNSで提唱した開発手法です。カーパシー氏はOpenAIの創設メンバーであり、テスラの自動運転AI開発を率いた経歴を持つ人物です。
「Vibe」は英語で「雰囲気」「ノリ」という意味。従来のプログラミングのように細かな構文やコードの書き方にこだわるのではなく、「こんな感じのものを作りたい」という雰囲気をAIに伝えて開発する、というスタイルを表現しています。
カーパシー氏自身、「コードの存在を忘れて、バイブに身を委ねるだけ」「差分(AIが変更したコード)はもう読まない」と表現しています。かなり大胆な言い方ですが、要するに「人間はアイデアと方向性を伝える役割に集中し、コードを書く作業はAIに任せる」ということです。
従来のプログラミングとの違い
従来のプログラミングでは、開発者がプログラミング言語の文法を理解し、1行ずつコードを手書きする必要がありました。JavaScriptやPythonといった言語を習得するだけで、普通は何ヶ月もかかります。
バイブコーディングでは、このプロセスが根本的に変わります。「ユーザーがログインできる画面を作って」「このCSVファイルを読み込んで集計して」といった日本語の指示を出すだけで、AIがコードを自動生成してくれるのです。
もちろん「AIに丸投げ」で完璧なものができるわけではありません。何度かやり取りを繰り返しながら、少しずつ理想の形に近づけていきます。このAIとの対話の繰り返しが、バイブコーディングの基本的な流れです。
ノーコードツールとの違い
バイブコーディングと混同されやすいのが、ノーコードやローコードと呼ばれる開発手法です。
ノーコードツールは、あらかじめ用意されたパーツを画面上でドラッグ&ドロップして組み合わせる方式です。直感的で分かりやすい反面、用意されたパーツ以上のことはできません。
一方、バイブコーディングではAIが柔軟にコードを生成するため、カスタマイズの自由度がはるかに高いのが特徴です。「会計ソフトのAPIからデータを取得して、特定の条件で集計し、Slackに通知する」といった複雑な処理も、言葉で伝えれば実現できます。私が作った業務システムは、ノーコードツールでは到底実現できない複雑さのものでした。
実際にバイブコーディングで何を作ったか【体験談】
ここからは、私が実際にバイブコーディングで構築したシステムを紹介します。どれも10人規模の会計事務所の実務で日常的に使われているものです。
顧問先管理ポータル
最初に作ったのは、社内向けの顧問先管理ポータルです。それまでExcelと紙で管理していた顧問先の情報を、Webアプリで一元管理できるようにしました。
AIに「顧問先の会社名、担当者、契約プラン、次回面談日を登録・検索できるWebアプリを作りたい」と伝えたのが始まりです。データベースの設計、画面のレイアウト、検索機能まで、すべてAIとの対話で作り上げました。
会計ソフトAPI連携
次に取り組んだのが、会計ソフトのAPIとの連携です。会計ソフトに登録されているデータを自動で取得し、社内システムに反映させる仕組みを作りました。
API連携と聞くと技術的に難しそうに感じますが、「会計ソフトから取引データを取得して一覧表示する機能を追加したい」と伝えるところからスタートしました。認証の仕組みやデータの整形も、AIが対応してくれました。
税務チェック自動化ツール
一番手応えを感じたのが、税務書類のチェックを自動化するツールです。申告書のPDFを読み込み、数値の整合性や記載漏れがないかを自動でチェックする仕組みです。
これは開発に一番時間がかかりましたが、完成後は1件あたりのチェック時間が大幅に短縮されました。人の目によるダブルチェックは引き続き行っていますが、明らかな転記ミスや計算エラーはツールが先に検出してくれるので、チェック精度も上がりました。
バイブコーディングのメリット3つ
1. プログラミング学習なしで開発できる
最大のメリットは、プログラミング言語を習得しなくても開発に取り組めることです。私は今もPythonやJavaScriptの文法を知りません。それでも、業務で実際に使われるシステムを作ることができました。
2. 開発スピードが圧倒的に速い
従来の開発であれば、外部の開発会社に依頼して見積もりをとり、要件定義を行い、開発・テストを経て納品されるまで数ヶ月かかるのが普通です。バイブコーディングなら、シンプルなツールであれば週末だけで形になります。私の場合、顧問先管理ポータルのプロトタイプ(試作品)は1日で完成しました。
3. 「ほしいもの」を自分で作れる
業務で「こんなツールがあったらいいのに」と思ったことはありませんか? バイブコーディングなら、そのアイデアを自分の手で形にできます。外部に依頼する必要がないため、細かい要望も即座に反映できます。使いながら改善を繰り返す「走りながら作る」スタイルが可能です。
バイブコーディングの限界と、実際にハマったポイント
メリットばかり書いても参考にならないので、正直にハマったポイントもお伝えします。
AIへの「伝え方」が想像以上に難しい
「簡単に作れる」と言われがちですが、AIに適切な指示を出すのは簡単ではありません。曖昧な指示を出すと、まったく意図しないものが出来上がります。
私が最初につまずいたのがまさにここです。「いい感じに作って」では何も進みません。「誰が」「何のために」「どんな画面で」「どんなデータを扱うか」を具体的に言語化する必要があります。結局のところ、バイブコーディングで最も重要なスキルは「プログラミング」ではなく「要件を言葉にする力」です。
セキュリティは自分で意識する必要がある
AIが生成したコードには、セキュリティ上の問題が含まれていることがあります。私は開発初期、データベースのアクセス権限設定(RLSと呼ばれる仕組み)が不十分なまま公開してしまいかけたことがあります。
コードが読めない分、こうした問題に自力で気づくのは難しいです。セキュリティに関しては、AIに「このアプリのセキュリティ上の懸念点をすべて洗い出して」と明示的に確認する癖をつけるようにしました。
複雑になると制御が難しくなる
機能を追加するうちにシステムが複雑になると、AIの出力の品質が下がることがあります。ある機能を修正したら、別の機能が壊れる。いわゆる「技術的負債」がたまっていく感覚です。
この問題に対して、私は「1つのシステムを肥大化させず、小さなツールを複数作って連携させる」方針にシフトしました。完璧な解決策ではありませんが、現実的な対処としてはうまくいっています。
これからバイブコーディングを始める人へのアドバイス
最後に、これからバイブコーディングに挑戦しようとしている方へ、実際にやってきた経験からアドバイスを3つお伝えします。
まず、小さなものから作ってください。 いきなり大きなシステムを目指すと挫折します。「社内の連絡先リストをWebで見られるようにする」くらいの小さなツールから始めるのがおすすめです。成功体験を積むことで、AIとのやり取りのコツが身についていきます。
次に、「何を作りたいか」を紙に書き出してください。 AIへの指示の精度は、事前にどれだけ要件を整理できているかで決まります。画面のイメージ、扱うデータの種類、誰がいつ使うのか。これらを箇条書きでいいので書き出してからAIに伝えると、最初の出力の品質がまったく違います。
そして、完璧を目指さないでください。 バイブコーディングで作ったものには、必ず粗い部分があります。80点のものを素早く作り、使いながら改善する。この割り切りができるかどうかが、バイブコーディングを楽しめるかの分かれ目だと感じています。
プログラミング経験がなくても、「こんなものが作りたい」という明確なアイデアと、AIとの対話を粘り強く続ける姿勢があれば、実用的なシステムは作れます。少なくとも、コードが読めない私にはできました。
よくある質問(FAQ)
Q. バイブコーディングにプログラミングの知識は必要ですか?
必須ではありません。私自身、プログラミング言語の文法を知らない状態で業務システムを構築しました。ただし、「何を作りたいか」を具体的に言語化する能力は必要です。また、基本的なIT用語(データベース、API、サーバーなど)の意味は理解しておくと、AIとのやり取りがスムーズになります。
Q. バイブコーディングで作ったシステムは業務で使えますか?
使えます。ただし、本番運用に耐えるかどうかはセキュリティと品質のチェック次第です。社内の限られたメンバーで使うツールであれば十分に実用的ですが、顧客向けサービスなど外部公開するシステムの場合は、専門家によるレビューを受けることをおすすめします。
Q. どのツールで始めるのがおすすめですか?
私はClaude Codeを使っていますが、CursorやReplitなど選択肢は複数あります。それぞれ特徴が異なるので、詳しくは別記事「バイブコーディング ツール おすすめ」で比較しています。初心者の方は、環境構築が最も簡単なものから試すのがよいでしょう。
まとめ
バイブコーディングとは、AIに自然言語で指示を出してソフトウェアを開発する手法です。2025年2月にアンドレイ・カーパシー氏が提唱し、急速に広まりました。
プログラミング未経験の私でも、この手法で業務システムを複数構築できました。ただし「簡単に何でも作れる魔法」ではなく、要件を言語化する力、セキュリティ意識、完璧を求めない割り切りが必要です。
これからの時代、「コードが書けるかどうか」より「AIに何を作らせるかを考えられるか」が重要になっていくと感じています。
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